吉岡先生 記念講演会 発心 2

講演中、横にかかっていたのが祇園祭の鉾に使われているような十六世紀ブリュッセルのタピスリーです。この中央のリボンのような部分に使われているのはケルメスかコチニールの赤だそうです。青みのかかった紫のニュアンスを持ちます。ヨーロッパの赤色は最初ケルメス(カイガラムシ[Kermes licis]とよばれる虫の雌を乾燥して得られる赤色色素.)であり、その後コチニール(エンジムシ[コチニールカイガラムシ]を乾燥させた物を再度水、お湯で抽出する)に変わっていきます。スペインはコチニールでぼろ儲けをしたそうです。この後、コレクションの説明に写っていきました。カシミアショールは十八世紀ごろのものであり、ヨーロッパへの輸出を意識した物で綴織と刺繍、パッチワークを併用した物で亡くなった父がインドを旅行した際に夜、窓にかけられたショールが外から見ると室内の光でステンドグラスのように見えたと言っておりました。確かに強い光源で照らしてやると驚くほど鮮やかな光が厚い織物にもかかわらず見ることができます。イギリスではこれを模してペイズリー(町名)でにたような毛織物を作り、非常に栄えた時期があります。現在は衰退し、さびれてしまっています。大航海時代のインドは大染織国で各国に輸出しておりました。日本で一番古い印刷物とされる百萬塔のなかにおさめられていた陀羅尼経が木版と銅版の二種存在し混在していることや複製ですがグーテンベルグの四十二行聖書を見て頂きました。古代裂帳である手鏡の内に集められて染織品の話を伺いました。最初にはりあわされている裂は桃山時代の刺繍で撚りのない非常に光沢のある糸をわたし縫で刺繍してあります。桐の文様があり織田家もしくは豊臣家ではないかとのお話しでした。桃山時代は唐絹、中国の絹織物が非常に良く、使われていたとのこと。法隆寺の蜀紅錦に使われている赤は茜であろう。そして神護寺経帙の縁の唐子は紅で染められ大和錦だとお話しされておられました。平安時代になると日本で織られた織物も多くなってきますが奈良時代の中国からの織物に比べるとたおやかさ、柔らかさがあるなど興味深いお話しを伺いました。
三十周年を記念し御講演を賜るに際して、自分の歴史と深いつながりがあったり影響の大きさなどから吉岡先生にお願いをしたのですが、素晴らしいお話しを頂戴し、本当に感謝しております。また講演会場ではなく、それぞれの部屋でライブ感溢れるご説明を頂き、本当にありがとうございました。現在修行中のお嬢様にもお越しいただき、重ねて御礼申し上げます。またお忙しい中、お越しいただきました皆様方にも厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。文責浅野裕尚。